2026年9月17日時点の情報です。

「仕事から帰ると夜しか練習できない」「集合住宅でアコギの音が気になる」——ギターを始めたい大人の方から、とても多くいただく悩みです。結論から言えば、夜間にアコースティックギターの感覚で練習したいなら、サイレントギターは有力な選択肢です。ただし「無音」ではなく「小さな音」になる楽器であること、そして生のアコギとは弾き心地が少し違うことを理解したうえで選ぶのが失敗しないコツです。

ここでは現役プロ講師の立場から、サイレントギターの仕組み、予算の考え方、購入前に確認したいポイントを整理します。

サイレントギターとは|「共鳴胴」を持たないギター

「サイレントギター™」はヤマハの製品シリーズ名で、現行の中心はSLG200シリーズです。一般的なアコースティックギターは、弦の振動を空洞のボディ(共鳴胴)で増幅して大きな音を出します。サイレントギターはこの共鳴胴をあえて持たない構造にすることで、周囲に響く音を小さく抑えています。

その代わり、内蔵のピックアップで拾った音をヘッドホンで聴きながら演奏するのが基本の使い方です。ヤマハ公式サイトの情報を整理すると、SLG200シリーズには次のような特徴があります。

  • 静粛性……スチール弦のSLG200Sは一般的なアコースティックギターの約18%、ナイロン弦のSLG200Nは一般的なクラシックギターの約10%の音量(メーカー公表値)
  • ヘッドホン端子・AUX IN……ヘッドホンで自分の音を聴けるほか、スマホなどの音源を流しながら一緒に弾ける
  • チューナー・エフェクト内蔵……クロマチックチューナーと、リバーブ/コーラスを搭載
  • 電源……単3電池(アルカリ乾電池で約22時間の目安)または別売の電源アダプター
  • 持ち運び……低音弦側のフレームを外してコンパクトに収納でき、専用ソフトケースが付属

出典:ヤマハ公式「SLG200 Series 概要」ヤマハ公式「SLG200 Series 仕様」
※仕様・価格は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

選び方の結論|まず「弦の種類」で3モデルから絞る

SLG200シリーズは、弾きたい音楽とネックの太さで選ぶのがいちばん分かりやすい方法です。

モデル弦長/ナット幅向いている人
SLG200Sスチール弦634mm/43mmJ-POPの弾き語り・フォーク・ストローク中心。エレキからの持ち替えも
SLG200Nナイロン弦650mm/50mm指弾き・ボサノバ・やわらかい音が好きな方
SLG200NWナイロン弦650mm/52mmクラシックギターを本格的に弾く方(クラシックギターと同等の指板幅)

出典:ヤマハ公式「SLG200 Series 仕様」

弾き語りをしたい初心者の方なら、多くの場合はスチール弦のSLG200Sが第一候補です。ナイロン弦とスチール弦の違いは弦の種類と太さ(ゲージ)の選び方でも解説しています。

予算帯別の考え方|「1本目」か「2本目」かで変わる

本体は7〜8万円程度が目安

SLG200シリーズのメーカー希望小売価格は、公式発表で7〜8万円程度(税込)です。初心者向けの普通のアコースティックギターより高めですが、ヘッドホンで聴く仕組み・チューナー・ケースまで含まれていることを考えると、「夜も練習できる環境ごと買う」価格と捉えるとよいでしょう。

1本目として買う場合

練習時間の大半が夜、あるいは住環境的に普通のアコギを鳴らせないなら、最初の1本がサイレントギターでも問題ありません。ヘッドホンで自分の音をはっきり聴けるので、ミスに気づきやすいという利点もあります。一方、昼間に音を出せる環境があるなら、まずは普通のアコースティックギターを選び、必要を感じてから追加する順番が無駄の少ない選び方です。

エレキギター派なら別の選択肢も

弾きたい音楽がロックやバンド系なら、エレキギター+ヘッドホンアンプという組み合わせも夜間練習に向いています。エレキはアンプを通さなければ生音が小さく、予算も抑えやすい傾向があります。詳しくはヘッドホンアンプとはをご覧ください。

失敗しないチェックポイント4つ

1. 「どのくらい音が漏れるか」を想定しておく

サイレントギターは音量が小さいとはいえ、弦を弾く音やピッキングの音はそれなりに聞こえます。深夜の集合住宅で強くストロークすれば、隣室や下の階に響く可能性はあります。夜間は指弾きや軽めのストロークにする、床に直接振動を伝えないよう椅子に座って弾く、といった配慮はしておきましょう。

2. 生のアコギとの「弾き心地の違い」を試奏で確かめる

共鳴胴がないため、体に伝わる振動や、弾いた瞬間の音の手応えが普通のアコギとは異なります。ボディを抱える感覚も軽く、フォームが崩れやすい方もいます。可能であれば楽器店で実際に構え、ヘッドホンをつけて数分弾いてみてください。

3. 電源まわりを事前に用意する

音をヘッドホンで聴くには電源が必要です。電池は別売なので、購入時に単3電池(または充電池)を一緒に用意しておきましょう。自宅で長時間弾くなら、別売の電源アダプターがあると電池切れを気にせず済みます。

4. ヘッドホンは自分に合うものを

付属のイヤホンでも使えますが、長時間の練習では耳が疲れにくいヘッドホンを別に用意すると快適です。音量を上げすぎると耳への負担になるので、小さめの音量で聴く習慣をつけてください。

講師からのアドバイス|「弾ける時間」を増やす道具として使う

ギターの上達でいちばん大切なのは、ギターに触る日を増やすことです。社会人の方から「平日は夜しか時間が取れないので、結局週末しか弾けない」という相談をよく受けますが、1回15分でも平日に触れる日があるかどうかで、上達のスピードは大きく変わります。サイレントギターは、その「平日の15分」を作るための道具として非常に優秀です。

ただし、ヘッドホンのリバーブが効いた音はきれいに聞こえやすく、雑な押さえ方でもそれらしく聞こえてしまうことがあります。ときどきエフェクトを切って素の音で確認する、昼間に音を出せる日は普通のギターでも弾いてみる、といった使い分けをすると、音の粗が見えて上達につながります。

練習を続ける工夫としては、ギタースタンドに立てて、すぐ手に取れる場所に置いておくのもおすすめです。

まとめ

サイレントギターは、共鳴胴を持たない構造で音量を抑え、ヘッドホンで聴きながら練習できるギターです。弾き語りならスチール弦のSLG200S、指弾きやクラシックならナイロン弦のSLG200N/NWを目安に選びます。本体は7〜8万円程度が目安で、「無音ではない」「生のアコギと弾き心地が違う」点は試奏で確認しておきましょう。夜しか練習できない方にとって、ギターに触る日を増やしてくれる心強い選択肢です。

「自分の環境ならどのギターが合う?」「夜の短い時間で何を練習すればいい?」という段階でしたら、お気軽にご相談ください。

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