譜面に「C9」「Am9」「G13」「C7(♭9)」といったコードが出てきて、どう押さえればいいのか戸惑ったことはありませんか? これらはまとめてテンションコードと呼ばれ、おしゃれなJ-POPやジャズ、ファンク、R&Bなどで欠かせない響きをつくっています。
結論から言うと、①テンションとは、セブンスコードにさらに重ねる9th・11th・13thの音のこと ②9th=2度、11th=4度、13th=6度の音を1オクターブ上で鳴らしたものと考えればよい ③ギターでは5度やルートを省いて、必要な音だけを選んで押さえる——この3点が押さえどころです。
この記事では、テンションの仕組みからコード表記の読み方、ギターでの具体的な押さえ方、曲の中での活かし方、よくある失敗までを、東京・新宿エリアでレッスンをしている現役プロ講師の視点で解説します。3度・5度・7度といった構成音があいまいな方は、先にコードの構成音の記事とセブンスコードの記事を読んでおくと理解がスムーズです。
テンションコードとは(役割と仕組み)
セブンスコードの「さらに上」に重ねる音
コードは、ルートから1つ飛ばしで音を積み重ねてできています。ルート・3度・5度でトライアド、そこに7度を足すとセブンスコードです。さらに同じように1つ飛ばしで積み上げていくと、9度・11度・13度の音にたどり着きます。この7度より上に重ねた音をテンション(テンション・ノート)と呼び、テンションを含むコードをテンションコードと呼びます。
Cを例にすると、次のようになります。
- 9th(ナインス):D → 2度の音(レ)を1オクターブ上で鳴らしたもの
- 11th(イレブンス):F → 4度の音(ファ)を1オクターブ上で鳴らしたもの
- 13th(サーティーンス):A → 6度の音(ラ)を1オクターブ上で鳴らしたもの
つまりテンションは、ドレミファソラシの中で、コードの構成音に入っていない残りの音です。音名自体は新しいものではなく、「コードの骨組みの上に、どの色を足すか」という考え方だと捉えるとイメージしやすくなります。
オルタード・テンション(♭9・♯9・♯11・♭13)
テンションは半音上げ下げして使うこともあります。これをオルタード・テンションと呼び、代表的なのは♭9th・♯9th・♯11th・♭13thの4つです。特にドミナント7thコード(C7やG7など)ではよく使われ、緊張感を強めて次のコードへ進みたい気持ちを強調します。
たとえばE7(♯9)は、ジミ・ヘンドリックスが多用したことから「ジミヘン・コード」とも呼ばれ、ロックでもおなじみの響きです。
コード表記の読み方
テンションコードの表記にはいくつかの書き方がありますが、基本のルールは次のとおりです。
- C9:C7(ドミナント7th)に9thを加えたもの。C・E・G・B♭・D
- Cmaj9(CM9):Cmaj7に9thを加えたもの。C・E・G・B・D
- Cm9:Cm7に9thを加えたもの。C・E♭・G・B♭・D
- C7(♭9)、C7(♯9):C7にオルタード・テンションを加えたもの
- C(add9):7度を入れずに9thだけを足したもの。C・E・G・D
「9」「11」「13」と数字だけが書かれている場合は、7度が含まれているのが原則です。7度なしで9thだけを足したい場合は「add9」と書いて区別します。また譜面によってはC7(9)やC7(13)のように、カッコ書きでテンションを示すこともあります。
ギターでの押さえ方と使い方
5度とルートは省いてよい
たとえばC13を理論どおりに積み上げると、C・E・G・B♭・D・F・Aの7音になります。しかしギターの弦は6本しかなく、しかも指は4本です。そこでギターでは、響きへの影響が小さい音から省くのが基本です。
- 5度:いちばん省きやすい音。なくてもコードの性格はほとんど変わらない
- ルート:バンドでベーシストが弾いている場合は省いてもよい
- 3度と7度:メジャーかマイナーか、どのセブンスかを決める大事な音なので、原則残す
つまりテンションコードは、3度・7度+テンションという骨組みで考えると、少ない指でも押さえられるようになります。
まず覚えたい4つのフォーム
5弦または6弦ルートで押さえられる、使用頻度の高いフォームを紹介します(×は弾かない弦)。
- Cmaj9:5弦3フレット(C)・4弦2フレット(E)・3弦4フレット(B)・2弦3フレット(D)。6弦と1弦は×
- C9:5弦3フレット(C)・4弦2フレット(E)・3弦3フレット(B♭)・2弦3フレット(D)・1弦3フレット(G)。6弦は×
- Cm9:5弦3フレット(C)・4弦1フレット(E♭)・3弦3フレット(B♭)・2弦3フレット(D)。6弦と1弦は×
- G13:6弦3フレット(G)・4弦3フレット(F)・3弦4フレット(B)・2弦5フレット(E)。5弦と1弦は×
どのフォームも、ルートの位置をずらせばほかのキーでもそのまま使えます。たとえばCm9の形を2フレット上げて5弦5フレットをルートにすればDm9、Cmaj9の形を5弦8フレットルートまで移動すればFmaj9になります。
コード進行の中での使い方
テンションは、コードを1つずつ差し替えるだけでも効果があります。たとえば定番の「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ」の進行(CメジャーキーならDm7 → G7 → Cmaj7)を、次のように置き換えてみてください(コード進行の基本は定番コード進行の記事も参考にしてください)。
Dm9 → G13 → Cmaj9
同じ進行なのに、一気に都会的で洗練された雰囲気になるのが分かるはずです。さらにG13をG7(♭9)に変えると、Cmaj9へ解決したときの「落ち着いた感じ」がいっそう強くなります。
練習での活かし方
元のコードと弾き比べて耳を慣らす
テンションコードは、形を覚えるだけでは身につきません。元のセブンスコードとテンションコードを交互に弾き、響きの違いを耳で確かめる練習が効果的です。Cmaj7とCmaj9、G7とG13のように並べて弾くと、テンションがどんな色を加えているのかがはっきり分かります。
トップノートの動きを意識する
テンションはコードのいちばん高い音(トップノート)に置くと、特に目立ちます。先ほどのDm9 → G13 → Cmaj9でも、上の方の音がどう動いているかに注目して弾いてみてください。トップノートがなめらかにつながる並びを選ぶことが、テンションを「おしゃれに」聴かせるいちばんのコツです。
好きな曲のコードを1つだけ置き換えてみる
いきなり全部をテンションコードにする必要はありません。弾き語りの曲で、たとえば最後のCをCmaj9に、AmをAm9に変えるだけでも曲の印象は変わります。1曲に1〜2か所から始めて、しっくりくる場所を探していくのが上達への近道です。
よくある失敗と注意点
どのコードにも同じテンションを足してしまう
テンションには、コードの種類によってなじむ音・ぶつかる音があります。たとえばCmaj7やC7に11th(F)を足すと、3度のEと半音でぶつかり、濁った響きになりがちです。メジャー系のコードでは11thの代わりに♯11thを、マイナー系のコードでは11thをそのまま使う、というように、コードの種類ごとに相性を意識しましょう。
音を詰め込みすぎて濁る
テンションをたくさん重ねるほど良い響きになるわけではありません。特に低い音域で音が密集すると、ギターではすぐに濁って聞こえます。低音はシンプルに、テンションは高い弦にが基本です。弾いてみて濁ると感じたら、5度を抜く・音数を減らすなどして整理してみてください。
ほかの楽器とぶつかる
バンドでは、キーボードやボーカルのメロディがテンションと重なったり、半音でぶつかったりすることがあります。ソロで弾くときは美しくても、アンサンブルでは邪魔になる場合もあるので、曲全体の中で響きを確認する習慣をつけましょう。
よくある質問(FAQ)
テンションコードとadd9コードは何が違いますか?
違いは7度が入っているかどうかです。C9はC7に9thを加えたコードで、C・E・G・B♭・Dの5音からできています。一方C(add9)は7度を入れずに、C・E・GのトライアドへDだけを足したコードです。add9のほうがシンプルで明るく、C9はブルースやファンクのような少し粘りのある響きになります。
テンションコードは初心者でも使えますか?
使えます。最初はCmaj9やAm9のように、いつものコードに1音足すだけのフォームから始めるのがおすすめです。ポイントは「どのコードにどのテンションを足すか」を意識することで、すべての音を理解してから使う必要はありません。弾き語りの曲でコードを1つ置き換えてみるだけでも、響きの変化をはっきり感じられます。
11thのテンションはどのコードにも使えますか?
使えないわけではありませんが、注意が必要です。メジャー系のコード(maj7やドミナント7th)に11thを足すと、3度の音と半音でぶつかり濁った響きになりやすいため、代わりに半音上げた♯11thを使うのが一般的です。一方マイナー系のコード(m7)では、11thは自然になじむ使いやすいテンションです。
まとめ
テンションコードとは、セブンスコードの上に9th・11th・13thを重ねたコードです。9thは2度、11thは4度、13thは6度の音と考えればよく、半音変化させたオルタード・テンションもあります。ギターでは5度やルートを省き、3度・7度+テンションという骨組みで押さえるのが基本です。
まずはCmaj9・C9・Cm9・G13の4つのフォームを覚え、Dm9 → G13 → Cmaj9の進行で響きの変化を体感してみてください。どのコードにどのテンションが合うのかが分かってくると、コード進行やアドリブの理解も一段と深まっていきます。
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