ギターストラップは、幅・素材・長さの3点で選べば失敗しません。
肩や腰が痛くなる原因の多くは、ストラップの品質ではなく幅と長さの不一致にあります。
最初の1本は「標準的な幅・化学繊維・長さの調整幅が広いもの」を選べば、ほぼどんなギターにも対応できます。
立って弾く練習は、座って弾く練習とはまったく別のスキルです。座っているときはギターの位置が太ももで固定されますが、立つとその支えがなくなり、ストラップだけがギターの位置を決めます。つまりストラップ選びは、そのまま立奏のフォーム作りに直結します。この記事では、初心者の方が最初の1本を選ぶときに見るべきポイントを、実際のレッスンで起きているつまずきに沿って解説します。
ギターストラップとは|役割と仕組み
ギターストラップは、ギターを肩から吊るして体の前で支えるためのベルトです。両端に穴が開いていて、ギター本体に付いているストラップピンという金具に引っかけて固定します。
ストラップが担っている3つの役割
- ギターの高さを決める:右手のピッキング位置と左手の押さえやすさが、ここでほぼ決まります
- ギターの重さを支える:エレキギターなら3〜4kg前後の重さが、肩の一点にかかります
- ギターの角度を安定させる:ネックが下がりすぎると、左手の手首に無理な角度がつきます
特に2つめと3つめは、初心者の方が見落としがちなポイントです。「立って弾くと急に弾けなくなる」という相談はレッスンでも非常に多いのですが、原因の大半はギターの位置が座奏時とずれていることです。ストラップは単なるアクセサリーではなく、演奏姿勢を決める道具だと考えてください。
ストラップピンの位置は機種によって違う
エレキギターは通常、ボディの下端と上側の角(ホーン)の2か所にピンが付いています。アコースティックギターは下端のみで、上側はネックの付け根に紐で結ぶタイプが一般的です。ピンの位置によって、ギターが体の前でどの角度に来るかが変わります。取り付けの手順そのものについては、ストラップの付け方|ピンの構造と立奏のコツで詳しく解説しています。
選び方|幅・素材・長さの3点で決める
1. 幅|ギターの重さに合わせる
幅が広いほど、肩にかかる重さが分散されて負担が減ります。一般的なストラップは5cm前後(2インチ程度)が標準で、これがもっとも選択肢の多い幅です。
- アコースティックギター・軽量なエレキ:標準的な幅で十分です
- 重量のあるエレキギター(レスポール系など):やや幅の広いものにすると、長時間の練習でも肩が楽になります
- 体格が小柄な方・お子さん:幅が広すぎると肩まわりが動かしにくくなるため、標準幅から試すのが無難です
なお「幅が広ければ広いほど良い」わけではありません。肩の可動域を妨げると、右手のストロークが窮屈になります。まずは標準幅を使ってみて、肩に食い込む感覚があれば幅を広げる、という順番で問題ありません。
2. 素材|最初の1本は化学繊維で十分
大きく分けて、化学繊維(ナイロン・ポリエステル系)、革、コットンの3種類があります。
- 化学繊維:軽く、価格も手頃で、長さの調整もしやすいのが利点です。最初の1本としてもっとも扱いやすい素材です
- 革:使ううちに肩になじみ、耐久性にも優れます。その分、価格は上がり、汗や湿気を吸うため手入れも必要になります
- コットン:肌当たりが柔らかく、デザインの幅が広いのが特徴です。伸びやすい製品もあるため、重いギターにはやや不向きです
価格帯は素材や作りによって大きく変わりますが、化学繊維の標準的なものであれば数千円程度から選べます。最初から高価なものを選ぶ必要はありません。まずは1本使ってみて、自分に必要な条件が見えてから買い替えるほうが、結果的に無駄がありません。
3. 長さ|調整範囲の広いものを選ぶ
見落とされがちですが、実はもっとも重要なのが長さの調整範囲です。製品によって、伸ばしきったときの長さと縮めたときの長さの幅が違います。
基準となるのは「座って弾いたときと同じ高さになる長さ」です。座奏で身についたフォームをそのまま立奏に持ち込めるため、立った途端に弾けなくなる、という状態を防げます。この基準の高さが調整範囲の真ん中あたりに来る製品を選ぶと、その後に少し高くしたい・低くしたいと思ったときにも対応できます。
購入時に長さの詳細が分からない場合は、調整範囲が広めに書かれているものを選んでおくと失敗が減ります。特に身長の高い方は、短いままでは基準の高さに届かないことがあるため注意してください。
練習での活かし方|立奏の練習に組み込む
座って弾ける曲を、そのまま立って弾いてみる
ストラップを手に入れたら、すでに座って弾ける曲を立って弾いてみてください。ほぼ確実に、いつもより弾きにくく感じるはずです。これは技術が落ちたのではなく、ギターの位置と体の関係が変わっただけです。
このとき、弾きにくさの原因がどこにあるかを確認します。左手が届きにくいならギターが低すぎるか、ネックが下がりすぎています。右手のピッキングが安定しないなら、ギターが体から離れて前に出ている可能性があります。長さを少しずつ変えて、座奏時にいちばん近い感覚になる位置を探してください。
長さを決めたら、しばらく固定する
位置が決まったら、少なくとも数週間はその長さのまま練習します。毎回長さを変えると体が位置を覚えられず、立奏のフォームがいつまでも安定しません。「毎回同じ位置にギターがある」ことが、立って弾く練習の前提条件です。
練習の一部を立奏に充てる
30分練習するなら、最後の5分だけ立って弾く、という形で十分です。座奏の練習量を減らす必要はありません。少しずつでも立って弾く時間を作っておくと、人前で演奏する機会が来たときに慌てずに済みます。
よくある失敗と注意点
低く構えすぎて左手が届かなくなる
見た目の格好良さからギターを低く構えたくなりますが、低い位置は左手の手首に大きな負担がかかります。特に初心者のうちは、ローポジションのコードが押さえられなくなり、フォームの悪い癖がついたまま固まってしまうことがあります。まずは座奏と同じ高さから始めてください。
ピンから外れやすい状態で使い続ける
ストラップの穴が広がってくると、演奏中の動きでピンから外れることがあります。ギターの落下は本体の破損につながるため、穴がゆるくなってきたと感じたら早めに交換するか、ロックパーツの使用を検討してください。ピンに半分だけ乗っている状態は、外れる寸前です。
ねじれたまま使って肩が痛くなる
装着時にストラップがねじれていると、幅の広い面ではなく細い側面が肩に当たり、重さが一点に集中します。「幅の広いものを買ったのに肩が痛い」という場合、ねじれが原因のことが少なくありません。付けるたびに一度確認する習慣をつけてください。
アコギの上側の固定を自己流で済ませる
アコースティックギターで上側のピンがない場合、ネックの付け根に紐で結んで固定します。この結び方が甘いと演奏中にずれてきます。不安がある場合は、ピンの増設も含めて楽器店や専門の技術者に相談してください。ボディに穴を開ける作業は、自分で行わないほうが安全です。
よくある質問(FAQ)
ストラップは最初から買ったほうがいいですか?
はい、ギターを買うタイミングで一緒に用意することをおすすめします。座って弾くだけなら必須ではありませんが、立って弾く練習を後回しにすると、いざ人前で演奏する段になってフォームを一から作り直すことになります。安価なものでかまわないので、早い段階から手元にある状態にしておくほうが上達はスムーズです。
幅が広いストラップのほうが必ず楽になりますか?
重いギターでは楽になりやすいですが、必ずではありません。幅が広いと重さが分散される一方、肩まわりが動かしにくく感じる方もいます。体格や服装によっても変わるため、軽いアコースティックギターであれば標準的な幅で十分なことも多いです。まずは標準的な幅で試し、肩に食い込む感覚があれば幅の広いものへ変える、という順序が確実です。
革と化学繊維、どちらを選ぶべきですか?
最初の1本としては、扱いやすさと価格の面から化学繊維(ナイロン・ポリエステル系)で問題ありません。革は肩になじみやすく耐久性にも優れますが、その分価格が上がり、湿気や汗の影響を受けるため手入れも必要になります。長く使う前提で、重いギターを立って弾く機会が増えてきた段階で検討すると無駄がありません。
まとめ
- ストラップは幅・素材・長さの3点で選べば失敗しません
- 幅はギターの重さに合わせる。標準的な幅から試し、食い込むようなら広くします
- 素材は最初の1本なら化学繊維で十分。革は使い込む段階になってからで問題ありません
- もっとも重要なのは長さの調整範囲。「座奏と同じ高さ」が真ん中に来るものを選びます
- 長さを決めたらしばらく固定し、練習の最後の5分を立奏に充てるだけでも効果があります
立って弾けるようになると、演奏できる場面が一気に広がります。一方で、立奏のフォームは自分では崩れに気づきにくく、鏡を見ても「どこが原因か」までは分からないことがほとんどです。本人にとって自然に感じる姿勢が、体に負担をかけていることも珍しくありません。当教室のレッスンでも、立って弾いていただいた状態でギターの高さと角度を一緒に調整し、その方の体格に合った位置をお伝えしています。
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