ギターストラップの付け方は、ボディにある「ストラップピン」という金属の突起2か所に、ストラップの穴を引っかけるだけです。道具も工具も要りません。ただし、付ける場所と向きを間違えると、演奏中に外れて落下する事故につながります。

レッスンでも、立って弾き始めた方から「弾きにくくなった」「途中でストラップが抜けそうで怖い」という相談をよくいただきます。原因のほとんどは、付け方そのものではなく長さの設定ピンへのはめ込みの甘さです。

この記事では、ストラップピンの構造から、実際の付け方の手順、立って弾くときの長さの決め方、そして落下を防ぐための注意点までを、レッスンでお伝えしている順番で解説します。

ストラップピンとは|ギター側の取り付け金具

ストラップピンとは、ギターのボディに付いているきのこのような形をした金属の突起です。エンドピンとも呼ばれます。頭の部分が軸より少し太くなっていて、ここにストラップの穴を通すと、簡単には抜けない仕組みになっています。

ネジ1本でボディに留められているだけの、とてもシンプルな部品です。素材は金属で、頭の直径はおおむね1.5センチ前後。ストラップ側の穴は、この頭がぎりぎり通るくらいの大きさに作られています。「きつくて入らない」と感じるのは、多くの場合が正常な状態です。

ピンは何個、どこに付いているか

基本は2か所です。位置はギターの種類で少し違います。

  • エレキギター:ボディの下端(お尻側)に1つ、ネックの付け根あたりの上側の角に1つ。2つとも本体に付いているので、そのまま引っかければ完成です
  • アコースティックギター:ボディの下端に1つだけ、という機種が多くあります。上側のピンがない場合は、ヘッド側に紐で結んで固定します(後述)
  • エレアコ:下端のピンがシールドの差し込み口を兼ねていることがあります。この場合もストラップは同じように引っかけられます

まずは自分のギターを見て、ピンが2つあるか1つかを確認してください。ここで手順が変わります。

ストラップの付け方|実際の手順

ストラップには両端に穴の開いた革(または合皮)のパーツが付いています。この穴をピンにはめ込みます。手順は次の通りです。

手順1:ギターを安定した場所に置く

立ったまま片手で持ちながら作業すると、力を入れた拍子に落とします。ベッドやソファの上、あるいは膝の上に寝かせた状態で作業してください。硬い床の上での作業は避けます。

手順2:下端(お尻側)のピンから付ける

ストラップの端の穴を、下端のピンの頭に押し当てます。革が硬い新品だと、かなり力が要ります。穴を指で軽く広げながら、真っすぐ押し込むのがコツです。斜めにこじると革の穴が裂けます。

頭を越えると、穴が軸の部分に収まって「かちっ」とはまった感触があります。ここまで入れば完了です。頭に半分だけ乗っている状態は、外れます。必ず軸まで落とし込んでください。

手順3:ねじれていないか確認して上側を付ける

もう一方の端を、ネック付け根側のピンにはめます。このとき、ストラップが途中でねじれていないかを必ず見てください。ねじれたまま肩にかけると、幅の広い面が肩に当たらず、食い込んで痛くなります。初めて付けた方の半分近くが、ここでねじれています。

長さ調節用の金具(バックル)が背中側に来るように向きをそろえると、肩の上がすっきりして安定します。

手順4:上側のピンがない場合(アコギ)

アコースティックギターで上側にピンがない場合は、ヘッド側に紐で結びます。ナットのすぐ上、ヘッドとネックの境目に紐を回して固定するのが一般的な方法です。ストラップに細い紐が同梱されていることが多く、なければ靴紐でも代用できます。

1弦から6弦のすべての下をくぐらせてから結ぶこと、そしてを押さえつけない位置に置くことが条件です。紐が弦の上に乗っていると、チューニングが狂う原因になります。

なお、上側のピンを後から取り付ける改造もできますが、ボディに穴を開ける作業になります。自分で行うと割れや位置ずれのリスクがあるため、楽器店の修理担当に依頼するのが安全です。

立って弾くときの長さの決め方

付け方より、上達に直結するのはこちらです。長さが合っていないと、座って弾けていたフレーズが立った途端に弾けなくなります。

基準は「座ったときと同じ高さ」

いちばん確実な決め方は、次の手順です。

  1. まず椅子に座って、いつも通りギターを構える
  2. そのままの高さでストラップを肩にかけ、たるみがなくなるまで長さを詰める
  3. ゆっくり立ち上がる
  4. ギターの位置が座っていたときとほぼ同じなら、それが自分の基準の長さ

この方法だと、座って練習した感覚をそのまま立奏に持ち込めます。練習の成果が本番で出ない、という遠回りを避けられます。

低く構えたい場合の考え方

ギターを腰の低い位置に構えるスタイルは見た目に格好よく、憧れる方も多い構え方です。ただし、低くするほど左手首を深く曲げる必要があり、押さえる力が余分に要ります。手首の負担も増えます。

おすすめは、まず基準の高さで弾けるようにしてから、少しずつ下げていく順番です。1回に下げる量は3センチ程度にとどめ、その高さで普段の練習曲が問題なく弾けることを確認してから次に進みます。最初から低くすると、フォームの癖がつく前に手が痛くなります。

立って弾く練習は早めに始める

座奏と立奏では、右手が弦に当たる角度も、左手から見えるフレットの見え方も変わります。ずっと座って練習してきた方が人前で初めて立って弾くと、別の楽器のように感じます。

ストロークパターンのような右手中心の練習は、立った状態でも取り入れておくと後が楽になります。1日の練習の最後5分だけ立って弾く、という形で十分です。

よくある失敗と注意点

ピンの頭に半分乗っているだけ

最も多く、最も危険な失敗です。革が硬くて入りきらず、頭の途中で止まっている状態でも、持ち上げれば普通にぶら下がります。しかし演奏中に体が動いた拍子に、あっけなく外れます。付けたら必ず、穴が軸まで落ちているかを目で確認してください。

ピンのネジがゆるんでいる

ピンは木ネジ1本でボディに留まっています。使ううちに少しずつゆるむため、指で軽く回してみて動くようなら締め直します。ただし、力任せに締めると穴が馬鹿になって、かえって抜けやすくなります。すでに空回りしている場合は、自分で埋め木などを試す前に楽器店へ相談したほうが確実です。

穴が広がった古いストラップを使い続ける

革の穴は使ううちに広がります。指で引っ張って簡単に抜けるようになったら交換の時期です。買い替えなくても、ストラップロック(ピンとストラップを固定する後付けパーツ)を使う方法があります。ゴム製のワッシャーを差し込むだけの簡易的なものなら数百円程度から、金具を交換する本格的なタイプでも数千円程度で手に入ります。立って演奏する機会がある方には有効な保険です。

ねじれたまま使って肩が痛くなる

「ストラップが肩に食い込む」という相談の多くは、幅の問題ではなくねじれです。付け直す前に、肩の上でストラップが平らになっているかを見てください。それでも痛い場合は、幅の広いタイプやクッション入りのものに替えると改善します。

長さを頻繁に変える

その日の気分で長さを変えていると、体がギターの位置を覚えられません。フォームが安定しないうちは、一度決めた長さを固定して使うほうが上達は早くなります。

よくある質問(FAQ)

ストラップの穴が硬すぎて、ピンにはまりません。どうすればいいですか?

新品の革は硬いので、それが普通の状態です。無理にこじると裂けるため、穴の周りを指でもんで革を柔らかくしてから、真っすぐ押し込んでください。それでも入らない場合は、穴に少しだけ切れ込みを入れる方法もありますが、切りすぎると抜けやすくなるので最終手段です。多くの場合、数回付け外しするうちに革がなじんで、ちょうどよい硬さに落ち着きます。

座って弾くときもストラップは付けたままでいいですか?

付けたままで問題ありません。むしろ、座奏でも軽くストラップを効かせておくと、ギターが体から離れにくくなって構えが安定します。ただし、座った状態でぴんと張るほど短いと、ギターが持ち上がって弾きにくくなります。座ったときは少したるむ程度が目安です。外す手間を省ける分、立って弾く練習にもすぐ移れます。

アコギに上側のピンがありません。付けてもらうべきでしょうか?

まずは紐で結ぶ方法で試してみてください。それで不便を感じないなら、加工は必要ありません。取り付けにはボディに穴を開ける作業が伴い、位置を誤ると強度に影響します。立って演奏する機会が増えてきた、紐だと安定しない、と感じた段階で楽器店に相談するのが順番として安全です。費用や可否は機種によって変わるため、実物を見てもらってからの判断になります。

まとめ

  • ストラップは、ボディのストラップピン2か所に穴を引っかけるだけで付けられる
  • 頭に半分乗った状態は外れる。軸まで落とし込むのが必須
  • アコギで上側のピンがない場合は、ヘッドとネックの境目に紐で結ぶ
  • 長さは「座って構えた高さ」を基準に決めると、練習の成果がそのまま立奏で出る
  • 低く構えたい場合は、基準の高さで弾けるようになってから少しずつ下げる
  • ねじれ・ピンのゆるみ・穴の広がりが、落下と肩の痛みの主な原因

ストラップは、付け方そのものより「どの高さで弾くか」を決める道具だと考えてください。高さが決まればフォームが決まり、フォームが決まれば練習が積み上がります。まずは座った高さを基準に合わせて、1日5分だけ立って弾く時間をつくるところから始めてみてください。

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