「子どもがギターをやりたいと言い出したけれど、大人用を買っていいのか分からない」——保護者の方からよくいただく相談です。結論から言えば、子供用ギターは「年齢」ではなく「身長と、構えたときに手が届くか」で選び、小学校低学年ごろまではナイロン弦のミニサイズ、身長140cm前後からフルサイズを目安にするのが、いちばん失敗の少ない選び方です。
子どもは「弾きにくい」「指が痛い」をうまく言葉にできないまま、ギターそのものを嫌いになってしまうことがあります。ここでは現役プロ講師の立場から、サイズの目安・予算の考え方・購入時のチェックポイントを整理します。特定の商品ではなく、どのモデルを前にしても判断できる基準をお伝えします。
選び方の結論|「大きくなったら使える」は逆効果
いちばん多い失敗は、「すぐ大きくなるから」と大人用のフルサイズを買ってしまうことです。体に対してギターが大きすぎると、左手は1フレットまで届かず、右腕はボディの端にかろうじて乗るだけになります。これでは正しいフォームが作れず、「音が鳴らない→つまらない→触らなくなる」という流れになりがちです。
子どもの場合、大人以上に「楽に構えられて、押さえたらちゃんと音が鳴る」という手応えが、続けられるかどうかを左右します。成長に合わせて買い替える前提で、今の体に合ったサイズを選んでください。
年齢別サイズの目安|比べるのは「弦長(スケール)」
ギターの大きさは、弦が振動する部分の長さ=弦長(スケール)で比べます。大手楽器店の島村楽器が公開している目安を整理すると、おおむね次のとおりです。
| 年齢の目安 | 弦長の目安 | 主なタイプ |
|---|---|---|
| 3〜6歳ごろ | 420〜480mm程度 | 小さめのミニギター(ナイロン弦が主流) |
| 6〜10歳ごろ | 550〜600mm程度 | 大きめのミニギター(ナイロン弦が主流) |
| 11歳ごろ〜(身長140cm前後〜) | 620〜650mm程度 | フルサイズ(アコギはスチール弦が主流) |
出典:島村楽器 イオンモール京都桂川店「ミニギター?ギター?お子様がギターをやってみたい場合どんな楽器をえらべばいいの?」
※サイズの基準はメーカーや販売店によって異なります。最新情報は各メーカー・販売店の公式サイトでご確認ください。
注意したいのは、「1/2」「3/4」といったサイズ表記は、メーカーによって実寸が異なることです。表記だけで判断せず、仕様表の弦長(mm)で比べるのが確実です。また年齢はあくまで目安で、同じ学年でも体格差は大きいもの。最終的には、後半の「構えてみてのチェック」で決めてください。
ナイロン弦・スチール弦・エレキ、どれにする?
- ナイロン弦(クラシックギター・ミニギター)……弦がやわらかく、子どもの指でも痛くなりにくい。小学校低学年ごろまでは基本的にこちら
- スチール弦(アコースティックギター)……きらびやかな音が魅力だが、張力が強く指先への負担が大きい。体と指がしっかりしてきてから
- エレキギター……弦が細く押さえやすい一方、アンプが必要で、フルサイズは本体が重い。ミニサイズのモデルもあるので、バンドの曲を弾きたいお子様なら選択肢に入ります
「弾きたい曲」がはっきりしているなら、その音が出るタイプを選ぶのがモチベーションの面ではいちばんです。特に希望がなければ、ナイロン弦のミニギターから始めて、手が大きくなったら好きなタイプへという順番が無理のない進め方です。
予算帯別の考え方|価格で何が変わるのか
1万円未満|「おもちゃ」との境目に注意
この価格帯には、見た目はギターでもチューニングがすぐ狂う/弦高が高くて押さえられないといった、練習が成立しにくいものが混ざります。「弾けないのは自分が下手だから」と子どもに思い込ませてしまうのが、いちばん避けたい結果です。
1万〜3万円程度|ミニギターの現実的な価格帯
子供用サイズであれば、1万〜3万円程度を目安にすると、ペグの精度や弦高など「押さえたら音が鳴る」土台を満たしたモデルを選びやすくなります。数年で買い替える前提なら、この範囲で十分です。
フルサイズへの移行期|「長く使う1本」を考えるタイミング
身長が140cm前後になり、フルサイズを無理なく構えられるようになったら、ここで初めて大人と同じ基準で選びます。予算の考え方は初心者向けアコースティックギターの選び方・初心者向けエレキギターの選び方で詳しく解説しています。
失敗しないチェックポイント5つ|店頭では必ず本人に構えさせる
1. 座って構えたとき、左手が1フレットに楽に届くか
お子様を椅子に座らせてギターを構え、左手を伸ばして1フレットを押さえられるかを確認します。腕が伸びきって体が左に傾くようなら、ギターが大きすぎるサインです。
2. 右腕が自然にボディに乗るか
右腕をボディに乗せたとき、右手が弦を弾く位置に自然に来るかを見ます。ボディの厚みで脇が大きく開いてしまう場合も、サイズが合っていません。
3. 弦高が高すぎないか
子どもの指の力は大人よりずっと弱いため、弦高(弦とフレットの距離)の影響を大人以上に受けます。保護者の方がまず押さえてみて「硬い」と感じるものは避けてください。気になる場合は、購入時に店員さんへ弦高の調整を相談するのがおすすめです。
4. チューニングが安定するか
子どもは自分でチューニングの狂いに気づけません。狂ったまま練習すると、正しい音の感覚が育ちにくくなります。ペグがスムーズに回るか、合わせたチューニングが少し弾いただけで大きく狂わないかを確認しましょう。
5. 本人が「これがいい」と思える見た目か
色や形をお子様本人に選ばせると、自分の楽器として大事にし、手に取る回数が目に見えて増えます。サイズと状態の条件を満たした中から、最後は本人の「好き」で決めてください。
講師からのアドバイス|「最初の数ヶ月」を大切に
子どもは吸収が早い一方で、最初に身についた構え方や押さえ方が、そのまま癖になりやすいという特徴があります。私自身、中学・高校生の頃に独学でギターを始め、のちに音楽学校で悪い癖を直すのにとても苦労しました。だからこそ、お子様には最初から体に合ったギターと正しいフォームで始めてほしいと考えています。
当教室でも小学生のお子様がレッスンを受けています。ご家庭での練習では、次の3つを意識していただくのがおすすめです。
- 練習は短く、なるべく毎日に近い頻度で……1回10〜15分でも、触る日が多いほうが伸びます
- ギターはスタンドに立てておく……ケースにしまうと、それだけで手に取らなくなります
- 「上手」より「楽しい」を優先する……好きな曲の一部分が弾けた喜びが、次の練習につながります
まとめ
子供用ギター選びの要点をまとめます。年齢ではなく、身長と構えたときの手の届き方でサイズを選ぶ。小学校低学年ごろまではナイロン弦のミニギター、身長140cm前後からフルサイズを目安にする。予算はミニサイズなら1万〜3万円程度を基準にし、店頭では本人に構えさせて、1フレットへの届き方・右腕の位置・弦高・チューニングの安定を確認する。最後は本人が気に入った見た目で選べば、大きく外すことはありません。
「うちの子にはどのサイズが合う?」「買ったけれど、正しく構えられているか分からない」という段階でしたら、お気軽にご相談ください。
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