※本記事は2026年8月14日時点で確認できた公式発表・大手音楽メディアの情報をもとにまとめています。仕様・価格・入荷状況は変更される場合がありますので、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

2026年8月上旬、エピフォン(Epiphone)から、米国のギタリスト/シンガーソングライター、マーカス・キング(Marcus King)のシグネチャーモデル「Marcus King El Dorado」が発表されました。1960年代にエピフォンのカタログにあった「El Dorado」というアコースティックモデルを、本人の愛機をベースに現代版として復活させた限定モデルです。

この1本は「オール単板(トップ/サイド/バックすべて単板)のスクエアショルダー・ドレッドノート」という、アコースティックギターの音を考えるうえで分かりやすい構成をしています。現役プロ講師の立場から、スペックの意味と「自分のギター選びにどう活かせるか」まで解説します。

Epiphone「Marcus King El Dorado」とは

El Doradoは、もともと1960年代にエピフォンがラインナップしていたアコースティックギターの名称です。今回のモデルは、マーカス・キング本人が最初に手にしたギター(父親から贈られた個体)をモチーフに、エピフォンとのパートナーシップで復刻された限定生産(limited edition)モデルとして発表されました。

カラーはAntique Naturalの1色展開で、シグネチャーグラフィック入りハードシェルケースが付属。エピフォンの正規取扱店およびGibson Garage、Epiphone.comを通じて世界展開されると発表されています。

価格は、発表時点で米国でのストリートプライス999米ドルと各メディアが報じています。日本国内での販売価格・発売日は、本記事作成時点で国内代理店からの正式発表を確認できませんでしたので、購入を検討される場合は必ず公式・正規取扱店の情報をご確認ください。

出典:Gibson公式 製品ページGibson Gazette(公式ニュース)Premier Guitar

主なスペック

公式および大手ギターメディアで確認できた主なスペックは次のとおりです。

項目仕様
ボディ形状スクエアショルダー・ドレッドノート
トップ材スプルース単板
サイド/バック材ローズウッド単板
ネック材マホガニー
指板ローズウッド(3プライ・バインディング)
フレット数20フレット
スケール長25.5インチ(約648mm)
ナットボーン(牛骨)
ペグEpiphone Deluxe(メタルボタン)
ピックアップL.R. Baggs Element Bronze アンダーサドル・ピックアップ&プリアンプ
フィニッシュAntique Natural
付属品シグネチャーグラフィック入りハードシェルケース

※スペックは発表時点の情報です。最新情報は公式サイトでご確認ください。

講師目線で見た注目ポイント

※以下は材やボディ形状の一般的な特性についての解説です。筆者は本モデルの実機を試奏しておらず、個体の音についてのレビューではありません。

1. サイド/バックまで単板ローズウッドという構成

アコースティックギターは、価格帯が上がるにつれて「トップだけ単板 → サイド/バックも単板」へと構成が変わっていきます。今回のEl Doradoはオール単板。ここが最大の注目点です。

合板(ラミネート)は反りや割れに強く価格を抑えられる一方、単板はボディ全体が振動しやすく、低音の伸びと倍音の豊かさが出やすい傾向があります。特にローズウッドは低音の量感と高音のきらびやかさが同時に出る材で、コードを鳴らしたときの「奥行き」が変わります。

また単板は、弾き込むほど響き方が変化していくのも特徴。長く付き合う前提の1本として見ると、理にかなった構成です。

2. スクエアショルダー・ドレッドノートの意味

ドレッドノートには、肩の部分が丸い「ラウンドショルダー」と、角ばった「スクエアショルダー」があります。一般論として、スクエアショルダーの方が音の立ち上がりが速く、中低域がタイトにまとまりやすい傾向があります。ストロークでバンドの中に埋もれにくいのはこちらです。

逆にラウンドショルダーは中低域がふくよかで、ゆったりした弾き語りに合いやすい。どちらが上ということはなく、やりたい音楽で選ぶものです。

3. アンダーサドル・ピックアップ搭載=そのままライブに持ち込める

L.R. Baggs Element Bronzeは、サドルの下に仕込むタイプのピックアップです。ハウリングに強く扱いやすいのが利点。人前で弾く予定があるなら、ピックアップが最初から付いているかは、あとから工賃をかけて取り付けることを考えると大きな差になります。

一方でアンダーサドル系は、生鳴りとは少し違う「硬めの輪郭」が出やすい特性もあります。ライブで使うなら、外部プリアンプやEQでの補正までセットで考えておくと安心です。

どんな人に向いている1本か

  • 2本目のアコギを探している方:合板のエントリーモデルからオール単板へステップアップする選択肢
  • ストローク中心のバッキングをしたい方:音の芯が出やすく、歌の後ろで支える弾き方に向きます
  • 人前で弾く機会がある方:ピックアップ搭載なので、ライブや発表会でそのまま使えます

逆に、これから初めてギターを買う方には、まず予算を抑えたモデルをおすすめしています。最初の数か月は「押さえられない」「音が鳴らない」というフォームの壁が中心で、そこはギターの価格では解決しないからです。弾ける形を作ってから次の1本にお金をかける。この順番のほうが上達も早く、無駄がありません。

購入を検討するときのチェックポイント

  1. 国内価格・発売時期は公式で確認する:本記事の価格は米国での報道値です。国内では為替や流通の事情で異なります
  2. 限定生産モデルは実機確認の機会が限られる:可能なら店頭で実際に鳴らし、ネックの太さと弦高を自分の手で確かめてください
  3. ドレッドノートはボディが大きい:体格や手の大きさによっては、抱えたときの窮屈さが練習の負担になることがあります
  4. 単板ギターは湿度管理が必要:湿度40〜60%程度を目安に、ケース内に湿度調整剤を入れておくと安心です

特に2と3は、スペック表だけでは分からない部分です。レッスンでも「スペックは理想的なのに、抱えてみたら弾きにくくて練習しなくなった」という相談は珍しくありません。ギターは手に合うかどうかが、材や価格と同じくらい大事です。

まとめ

  • Epiphone「Marcus King El Dorado」は、1960年代のEl Doradoを本人の愛機をもとに復刻した限定モデル
  • スプルース単板トップ+ローズウッド単板サイド/バックのオール単板構成、スクエアショルダー・ドレッドノート
  • L.R. Baggs Element Bronze搭載で、そのままライブに持ち込める
  • 米国でのストリートプライスは999米ドル。国内価格・発売日は公式/正規取扱店で要確認
  • スペックの良さより「自分の手と体格に合うか」を優先して選ぶことが、結局いちばん失敗しない

新製品ニュースは「欲しい」で終わらせるより、スペックの意味を理解する練習として読むと役に立ちます。単板と合板の違い、ボディシェイプと音の関係が分かってくると、次に自分がギターを買うときの判断が速くなります。

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