2026年9月4日時点の情報です。価格・仕様・受注期間は変更される場合がありますので、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
2026年9月1日、浜田省吾さんのソロデビュー50周年を記念して、1833年創業のマーティン(C.F. Martin & Co.)から初のシグネチャーモデル3機種が発表されました。長年アコギを教えている立場から見ると、「一生ものの憧れの1本」と「実際に手が届く1本」の両方が用意された、よく考えられた構成です。
この記事では3機種の概要を公式情報で整理し、もっとも多くの方に関係がありそうな000Jr E SHOGO HAMADAのスペックを講師の視点で読み解きます。
発表の概要
今回のモデルは浜田省吾さんの音楽活動50年(1976年〜2026年)を記念して制作されました。3機種はいずれも、アートディレクターの田島照久氏による「ON THE ROAD」をテーマにしたアートワークを共有します。これは1982年のライブアルバムに由来する、シリーズ全体を貫くコンセプトです。
3機種のラインナップと価格
OM Style 42 SH NAVY BLUE / OM Style 28 SH NAVY BLUE
この2機種は、浜田省吾さんが長年使用してきた「MARTIN CUSTOM OM-41 NAVY BLUE」がベースです。価格はMartin Guitar日本版カタログサイトの記載で、OM Style 42 SH NAVY BLUEが¥2,695,000(税込)、OM Style 28 SH NAVY BLUEが¥1,980,000(税込)とされています。
受注期間は2026年9月12日から11月15日までで、予定数量に達し次第受付終了とアナウンスされています。期間限定の受注生産という位置づけです。
000Jr E SHOGO HAMADA
3機種で唯一、現実的な価格帯のモデルです。価格は¥242,000(税込)、発売は2026年11月上旬以降の予定で、正規取扱店で予約を受付中とされています。数量限定ではありませんが、受注期間には限りがあるとの案内です。
シグネチャーモデルは飾るもの、と思う方もいるかもしれません。ただこの000Jr Eはスペックを見るかぎり完全に「弾くための楽器」として組まれています。
講師の視点:000Jr E のスペックはどう読むか
公表されている主なスペックは次のとおりです。
- スケール:632mm(Martinのショートスケールに相当)
- トップ:スプルース(サテン仕上げ/アンティークトナー)
- サイド&バック:サペリ
- ネック:FSC認証シポ材/ハイパフォーマンス・テーパー
- ナット幅:1-3/4インチ(約44.5mm)
- 指板:FSC認証リッチライト
- ピックアップ:Martin E-1(チューナー機能付き)
- 付属ケース:ソフトシェルケース(2wayバックパック仕様)
- インレイ:指板にダイヤモンド&スクエア、ブリッジに6ポイント・スノーフレイク、ヘッドに「ON THE ROAD」アートワーク
※仕様はMartin Guitar 日本版カタログサイトの記載によります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
ショートスケール+広めのナット幅という組み合わせ
まず注目したいのが632mmのショートスケールと、1-3/4インチ(約44.5mm)という広めのナット幅の組み合わせです。この2つは弾いたときの感触を大きく左右します。
スケールが短いと同じチューニングでも弦のテンションが緩みます。押さえる力が減るのでFのようなセーハコードや、指を大きく開くコードが物理的に楽になるのが最大のメリットです。一方でテンションが下がる分、音の立ち上がりは柔らかくなります。
そしてナット幅。一般的なアコギは1-11/16インチ(約43mm)が多く、44.5mmは1.5mmほど広い設計です。わずかな差ですが、弦間隔が広がるぶん、指で弾いたときに隣の弦へ触れるミスが減ります。フィンガーピッキングやアルペジオではっきり分かる違いです。
この2つを合わせると「押さえるのは楽で、指で弾き分けるのはしやすい」方向に振られた設計だと読めます。弾き語りやソロギター志向の大人の方には理にかなった組み合わせです。逆にピックで力強くストロークしたい方には、やや大人しく感じられるかもしれません。
サペリのサイド&バックが向いている音楽
サイドとバックのサペリは、マホガニーに近い性格の木材です。ローズウッドのように低音が沈み込んで倍音が華やかに広がるタイプではなく、中音域が詰まった、まとまりのある鳴り方をします。
これは弾き語りでは利点です。低音と倍音が派手すぎると歌声とぶつかって声が埋もれやすいためで、中音域中心のサペリは歌の邪魔をしにくい木材です。
リッチライト指板は日本の気候で効いてくる
指板のリッチライトは、木材ではなく紙を樹脂で固めた複合材です。意味は「安定性」で、天然木ほど湿度の影響を受けにくく、乾燥や多湿でのコンディション変化が小さいのが特徴です。梅雨と冬の落差が大きい日本では実用的なメリットです。とはいえ本体は木ですから、ギターの湿度管理と保管方法もあわせて確認しておくと安心です。
Martin E-1ピックアップが付いている意味
チューナー機能付きのMartin E-1が標準搭載されている点も見逃せません。買った状態のままPAに繋げるということです。生音のギターを後から改造すると加工と工賃で数万円かかることも珍しくないので、人前で弾く予定があるなら合理的です。
このニュースから学べる、アコギ選びの視点
今回のモデルを題材に、アコギを選ぶときに見るべき4点を整理します。憧れのモデルかどうかに関係なく、そのまま使える視点です。
- スケール長:短いほど押さえやすく、音は柔らかい方向に振れる
- ナット幅:広いほど指弾きしやすく、狭いほど握り込むコードが楽
- サイド&バックの木材:中音域重視か、低音と倍音の華やかさ重視か
- ピックアップの有無:人前で弾く予定があるなら最初から付いている方が結果的に安い
スペック表は、慣れると「このギターは誰に向けて作られたか」を語ってくれます。数字を自分の弾きたい音楽と結びつけて読む習慣をつけると、楽器選びの精度が上がります。予算の考え方は初心者向けアコースティックギターの選び方で解説しています。
まとめ
浜田省吾さんのソロデビュー50周年を記念したMartin初のシグネチャーモデルは、OM Style 42 SH/OM Style 28 SH NAVY BLUE/000Jr E SHOGO HAMADAの3機種。OMの2機種は2026年9月12日から11月15日までの受注期間、000Jr Eは2026年11月上旬以降の発売予定です。
なかでも000Jr Eは、ショートスケールと広めのナット幅、中音域がまとまるサペリ、チューナー付きピックアップという組み合わせで、弾き語りやソロギター志向の方に素直に設計されたモデルだと読み取れます。記念モデルでありながら実用機として成立している点が面白いところです。
スペックの読み方は一度身につければ一生使えます。「自分の弾きたい音楽にどんなギターが合うのか分からない」という段階でしたら、楽器選びから一緒に考えることもできます。
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