ギターを始めた人が「弾けた!」を最初に体験しやすい曲の代表格が、スピッツの「チェリー」です。1996年4月10日にリリースされた13作目のシングルで、160万枚を超えるミリオンセラー。発表から30年近く経った今も、弾き語りの入門曲として選ばれ続けています。

この記事では、現役プロ講師の視点で「チェリー」の難易度・使うコード・つまずきやすいポイント・練習の進め方を解説します。楽譜や歌詞そのものは掲載しませんが、「どこをどう練習すれば形になるか」がわかる内容にまとめました。

「チェリー」はどんな曲?難易度は5段階で★★★☆☆

まずは曲の基本情報から整理します。

  • リリース:1996年4月10日(通算13作目のシングル)
  • 収録アルバム:『インディゴ地平線』
  • 作詞・作曲:草野正宗
  • キー:Cメジャー

難易度を項目別に見ると、次のようになります。

  • コードの押さえやすさ:★★★☆☆(Fが1つだけ壁になる)
  • コードチェンジの速さ:★★★☆☆(1小節で1〜2回)
  • リズム・ストローク:★★☆☆☆(素直な8ビート)
  • 総合難易度:★★★☆☆(5段階中3)

「チェリー」が入門曲として優秀な理由は、中心となるコードが5つだけで、同じ進行が何度も繰り返されることです。一度覚えれば最後まで応用が効きます。うち4つ(C・G・Am・Em)は開放弦を使ったオープンコードで、バレー(人差し指で複数の弦をまとめて押さえる形)が必要なのはFと、終盤に1回だけ出てくるB♭add9だけ。逆にいえば、Fさえ越えられれば一気に完成に近づく曲です。

使用するコードとキー|カポは必要ありません

中心となるコードは5つ(全体では8種類)

原曲キーはCメジャー。カポなし(Capo 0)でそのまま原曲キーで弾けます。曲の大部分は C・G・Am・Em・F の5つで進み、これに Cadd9(2回)・B♭add9(1回)・Fmaj7(1回) が加わって全8種類です(U-FRET掲載のコード譜を基準)。つまり9割方は、ギターを始めて最初に習う5つのコードで弾けます。これがこの曲の最大の強みです。

コード進行はカノン進行がベース

イントロは |C G|Am F| の繰り返し。Aメロは C→G→Am→Em→F→C→F→G という、いわゆるカノン進行です。サビは C→Am→Em→F の4つを繰り返し、最後だけ G→C で終止します。

この「C・G・Am・Em・F」という並びは、J-POPの定番曲で繰り返し登場する型です。つまり「チェリー」を弾けるようになると、他の曲にもそのまま流用できるということ。1曲覚えるコストに対して、リターンが非常に大きいレパートリーです。

カポは不要。使うのは「歌いやすさ」を調整したいときだけ

カポなしで原曲キーになるので、ギターだけを弾くならカポは不要です。カポを使うのは「自分の声に合わせたいとき」。原曲キーが高くて歌いづらければコード自体を下げる、逆に低ければ同じCのコードフォームのままカポを1〜4フレットに付けると、押さえ方を変えずにキーだけ上げられます。カポの選び方や付け方は下の関連記事で詳しく解説しています。

弾き方のポイントとつまずきやすい3か所

ストロークは素直な8ビートから

いきなり細かいパターンを狙う必要はありません。最初は1小節に1回「ジャーン」と鳴らすだけで通し、コードチェンジが間に合うようになってから8分のストロークを入れます。

入れる順番は「ダウンだけを4回」→「ダウン・アップの繰り返し」→「一部を空振り(空ストローク)にして抜きを作る」。腕を止めずに振り続け、鳴らしたくないところだけ弦に当てないのがコツで、これができるとリズムが一気に安定します。

つまずき① Fが鳴らない

最初の関門がFです。6本すべてを押さえるバレーコードが厳しい間は、1〜4弦だけを鳴らす簡易フォームで代用して構いません。曲の流れは十分に成立します。なおFmaj7(人差し指のバレーが不要)は代用フォームとしても使えますが、この曲では終盤に本物のコードとして1回登場します。人差し指は指の腹ではなく少し親指側に倒した側面で押さえ、ネックの裏の親指は真ん中あたりに置くと力が伝わりやすくなります。

つまずき② C→Gのチェンジが遅れる

指を全部離して押さえ直すと必ず間に合いません。薬指を軸にして動かす意識を持つと移動距離が減ります。練習では、この2つのコードだけを行ったり来たりする「2コード往復」を、メトロノームに合わせて30秒だけやるのが効果的です。

つまずき③ サビでFが間に合わなくなる

サビは Am→Em→F→C のサイクルが4行にわたって回り続けるため、1周ごとにFが戻ってきます。イントロやAメロのように「ときどき出てくるF」ではなく、休む間もなく次のFが来る——最後まで通せない原因は、Fが押さえられないことよりFが間に合わないことにあるケースが多いです。

対処は3段階で考えます。まずサビだけを取り出して、Em→Fの2つだけを往復する(②と同じやり方です)。次に、Fは1〜4弦の簡易フォームのままで構いません——ここでは曲の流れを止めないことを優先します。それでも間に合わなければ、Fは頭の1発だけ鳴らして残りは空ストロークで流す。腕さえ振り続けていればリズムは崩れないので、全部の音を鳴らそうとしないほうが、結果として曲らしく聴こえます。

練習の進め方(4ステップ)

  1. コード単体を確認する:C・G・Am・Em・Fを1つずつ鳴らし、全部の弦がビビらず鳴るかチェック。ここを飛ばすと後で必ず戻ってきます。
  2. 1小節1ストロークで最後まで通す:テンポは原曲の7割程度から。曲の全体像を体に入れる段階です。
  3. 8ビートのストロークを乗せる:Aメロだけ、サビだけ、と区切って仕上げてからつなげます。
  4. 歌を乗せる:最初は手が止まりがちなので、ストロークを1小節1回に戻してから歌を合わせ、慣れたら本来のパターンに戻します。

1日15分でも、この順番で進めれば2〜4週間で「通して弾ける」ところまで到達する方がほとんどです。焦ってステップ2を飛ばすと、ストロークとコードチェンジの両方が同時に崩れて挫折しやすくなります。

まとめ

  • 「チェリー」は原曲キーCメジャー、カポなしで原曲キーで弾ける
  • 中心のコードはC・G・Am・Em・Fの5つ(全体では8種類)。カノン進行がベースで他の曲にも応用できる
  • 関門はF。1〜4弦だけの簡易フォームで代用してよい
  • 練習は「コード単体→1小節1ストローク→8ビート→歌」の順で進める

本記事のコード名・進行は U-FRET掲載のコード譜(原曲キー・Capo 0) を基準にしています。実際に弾く際は必ずコード譜サイトの譜面をご覧ください。楽曲の最新情報やリリース詳細はスピッツ公式サイトをご確認ください。

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