エレアコ(エレクトリック・アコースティックギター)のボディのお尻についている、金属製の太いピン。これが「エンドピンジャック」です。結論から言うと、①ストラップを掛けるピンと、シールドケーブルを挿す出力端子を1つにまとめたパーツで、②シールドを挿している間は電池を消耗する機種が多いので、弾き終わったら必ず抜くのが基本、③緩みやガタつきに気づいたら、自己流で締めずに早めに点検するのが長持ちのコツです。この記事では現役プロ講師が、仕組みから正しい挿し方、よくある失敗までやさしく解説します。

エンドピンジャックとは(役割・仕組み)

アコースティックギターのボディの一番下(お尻側)には、ストラップを掛けるための「エンドピン」が付いています。エンドピンジャックは、このエンドピンの中を空洞にして、シールドケーブルを挿せる出力ジャックの機能を持たせたパーツです。つまり1つで次の2役をこなします。

① ストラップピンとしての役割:ストラップの片側を掛けて、ギターを肩から下げられるようにする
② 出力ジャックとしての役割:ギター内部のピックアップが拾った音を、シールドケーブルを通してアンプや会場の音響設備へ送り出す

エレキギターではボディの表面や側面にジャックがあるのが一般的ですが、アコースティックギターはボディの板が薄く、中が空洞です。そのため、もともと木のブロックで補強されていて丈夫な「ボディのお尻」にジャックをまとめる方式が広く使われています。見た目がすっきりし、ボディに余計な穴を開けずに済むのも利点です。

サイドジャック型との違い

エレアコの中には、ボディの側面にプレートを付けて、そこにジャックや電池ボックスをまとめた機種もあります。この場合、お尻のピンは普通のストラップピンで、シールドは側面に挿します。自分のギターがどちらのタイプかは、ピンの先端に穴が開いているかどうかで見分けられます。穴が開いていればエンドピンジャックです。

エンドピンジャックの使い方・シールドの挿し方

使い方そのものはシンプルですが、順番を守るだけでトラブルの大半を防げます。

① アンプやミキサー側の音量を下げておく(またはミュートしてもらう)
② ギターを片手でしっかり支え、シールドをまっすぐ奥まで挿す。「カチッ」と手応えがあるところまで入れる
③ ギター本体のボリュームを上げ、最後にアンプ側の音量を上げる
④ 弾き終わったら逆の順番で音量を下げ、シールドを抜く

音量を上げたまま抜き差しすると「バツッ」という大きなノイズが出て、スピーカーを傷める原因になります。ライブや発表会では、抜き差しの前に音響担当の方へひと声かけるのがマナーです。

ストラップと一緒に使うときの順番

立って弾く場合は、先にストラップを掛けてから、シールドを挿すのが基本です。シールドのプラグがストラップの抜け止めのような役目もしてくれます。さらに、シールドをストラップとボディの間に一度くぐらせてから挿すと、ケーブルを踏んでしまったときにプラグへ直接力がかかりにくくなり、不意に抜ける事故を減らせます。

練習での活かし方|自宅でも「つないで弾く」経験を

エレアコを持っていても、自宅では生音だけで弾いていて、エンドピンジャックを一度も使ったことがないという方は少なくありません。それ自体は問題ありませんが、発表会やライブ、弾き語りの配信などを目標にしているなら、本番の前に「つないで弾く」経験をしておくことをおすすめします。

・シールドを挿した状態で、立って1曲通して弾いてみる
・ケーブルの重みでギターのバランスがどう変わるかを確かめる
・ギター本体のボリュームやトーンのつまみを動かして、音の変化を知っておく
・電池の交換方法を一度自分でやってみる

アンプから出る音は、生音よりもピッキングの強弱や弦をこする音がはっきり聞こえます。普段から慣れておくと、本番で「いつもと音が違う」と慌てずに済みます。演奏の中身と同じくらい、機材の扱いに慣れていることが本番の落ち着きにつながります。

よくある失敗と注意点

シールドを挿しっぱなしにして電池が切れる

電池で動くプリアンプを内蔵したエレアコの多くは、シールドを挿すと電源が入る仕組みになっています。挿したままスタンドに立てておくと、弾いていなくても電池が減り続け、いざ本番というときに音が出ない、ということが起こります。弾き終わったらシールドを抜く習慣をつけ、本番前には新しい電池に替えておくと安心です。

緩んだナットを自己流で締めてしまう

エンドピンジャックは外側のナットでボディに固定されています。長く使っているとこのナットが緩み、ジャック全体がグラグラしてくることがあります。ここで外側だけを力まかせに回すと、ジャック本体が一緒に回ってしまい、内部の配線がねじれて断線するおそれがあります。ガタつきに気づいたら、無理に締め込まず、楽器店で点検してもらうのが安全です。

シールドを挿したまま立てかける・置く

シールドを挿したままギターを壁に立てかけたり、床に置いたりすると、プラグに横向きの力がかかり、ジャックやボディを傷める原因になります。ケースにしまうときはもちろん、少し席を外すだけのときでも、スタンドに置くか、シールドを抜いてから置くようにしましょう。

ストラップが外れてギターを落とす

エンドピンジャックは普通のピンより太い一方、ストラップの穴が使い込まれて広がってくると、するりと抜けることがあります。立って弾く前に、ストラップがしっかり掛かっているかを毎回手で引いて確認する癖をつけてください。

よくある質問(FAQ)

シールドを挿しても音が出ません。故障でしょうか?

故障を疑う前に、①ギター側の電池残量、②ギター本体のボリューム、③シールドが奥まで挿さっているか、④アンプやミキサー側の音量の4点を順番に確認してください。多くの場合はこのどれかが原因です。別のシールドに替えても音が出ない、触ると音が途切れるといった場合は、ジャック内部の不具合の可能性があるので楽器店に相談しましょう。

エンドピンジャックにストラップが入りません。どうすればいいですか?

エンドピンジャックは通常のストラップピンより太いため、ストラップの穴がきつく感じることがあります。革製のストラップは少しずつ押し広げるようにして通すと入ることが多いです。どうしても入らない場合は、エンドピンジャックに対応した穴の大きいストラップを選ぶのが確実です。無理にハサミなどで切り広げると、演奏中に外れる原因になるのでおすすめしません。

普通のアコギにエンドピンジャックを後付けできますか?

ピックアップを後付けする際に、エンドピンジャックを取り付けることは可能です。ただしボディ側の穴を広げる加工が必要になり、一度加工すると元には戻せません。失敗するとボディを傷めるおそれがあるため、ご自身で作業するより、リペアを行っている楽器店や工房に依頼するのが安心です。

まとめ

エンドピンジャックは、ストラップピンと出力ジャックを1つにまとめた、エレアコならではのパーツです。「音量を下げてからまっすぐ挿す」「弾き終わったら抜く」「緩みは自己流で締めない」の3点を押さえておけば、トラブルの多くは防げます。当教室のレッスンでも、発表会やライブを目標にしている生徒さんには、演奏そのものに加えて、機材のつなぎ方や本番前の確認ポイントまで実践的にお伝えしています。

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