変則チューニングとは、ギターなどにおいてレギュラーチューニングでは困難な演奏を可能にするもしくは容易にする為の特殊なチューニングのことです。
変則チューニングとしてロック音楽で多いのが6弦のみを1音下げる"ドロップD"です。
6弦のみを1音(フレット2つ)分下げる事により、6,5弦をバレー(同一のフレットを押さえる)するだけでロック音楽で多用されるパワーコードを弾くことができ、パワーコードを絡めた複雑な演奏を容易にすることができます。
また、開放弦の音を通常よりも1音低く出すことができる利点もあります。
6弦のみを1音下げるチューニングは、全弦を1音以上下げる"ダウンチューニング"と併用して使われることも多くあります。(6弦から "C・G・C・F・A・D"といった全弦1音下げ+6弦を更に1音下げチューニング)
次に変則チューニングとして有名なのが、ブルースやスライドバーを使用した"スライドギター"などで多用される通称"オープンチューニング”です。
これも開放弦をそのまま和音(コード)の音へと変えることで、レギュラーチューニングでは難しい演奏を可能にする意図があります。
具体的な例としては
・オープンG (6弦から"D・G・D・G・B・D")
6,5,1弦を1音ずつ下げることにより、開放弦がGコードの構成音となるチューニング。
・オープンA (6弦から"E・A・E・A・C♯・E")
2〜4弦を1音上げることにより、開放弦がAコードの構成音となるチューニング。
・オープンD (6弦から"D・A・D・F♯・A・D")
6,2,1弦を1音下げ、3弦を半音下げることにより、開放弦が全てDコードの構成音となるチューニング。
・ダドガド(6弦から"D・A・D・G・A・D")
構成する音から名前が取られたチューニングであり、オープンDから3弦のみレギュラーのままにしたものです。
上で書いている各オープンチューニングと違い、構成音的にはメジャーともマイナーとも取れない曖昧な調性であり、アイリッシュ音楽などで使われるチューニングです。
この他にも開放弦をマイナーコードの形にしたものなどありますが、特に名前の付いていないものもあり、ギタリストにより独自の変則チューニングが存在します。